公害防止(大気)大気特論の「窒素酸化物」に関する覚えるポイントをまとめました
窒素酸化物について
- 燃焼によって発生するNOxはほとんどNO(90~95%)
- NOが大気中に排出され、オゾンと反応するとNO2になる
- サーマルNOx:空気由来、フューエルNOx:燃料中のN由来
- サーマルNOxのうちZeldovich機構に従わないものをプロンプトNOxと呼ぶ。一酸化炭素や水素の燃焼はZeldovich 機構に従い、炭化水素の燃焼ではZeldovich機構に従わない。
- サーマルNOxの生成速度は反応温度に強く依存し、高温ほど生成速度は大きい
- 燃料中窒素からフューエルNO変換率は12~50%
- フューエルNOxの生成には燃料の分解により生じるNを含む中間生成物が関与している
低NOx燃焼技術
NOx 抑制原理
- 有機窒素含有率の低い燃料を使用する
- 燃焼域での酸素濃度を低くする
- 高温域での燃焼ガスの滞留時間を短くする
- 燃焼温度を低くする
- 低NOx燃焼には燃料改善と燃焼改善がある
(1)燃料改善
①燃料転換
燃料中の窒素分の一部は燃焼によって酸化されてフューエルNOx になるので、窒素分の少ない良質燃料にする
②燃料脱窒
燃料中の窒素分を低減させることでフューエルNOxを減少
③エマルジョン燃焼
石油系燃料中に水と微量の界面活性剤を加えて混合攪拌し、粒子径が数 µm のエマルジョン燃料を作り、水分の蒸発潜熱により火炎温度を下げることでNOxを抑制(水:油=2:8)
サーマルNOxの抑制効果が大きい
エマルジョン燃焼のNOx抑制原理
- 水の蒸発による吸熱
- 局所高温部の除去:水分が燃料中に微粒子状で均一に分散しているため、火炎中に局所的高温部が生じるのを抑制
- 噴霧燃料の微粒化促進による低空気比燃焼の実現:水滴の蒸発に伴う体積膨張により、噴霧燃料の微粒化が促進され、低空気比の燃焼が可能になる
(2)燃焼改善
①低空気比燃焼
可能な限り1に近い空気比で燃焼を行うことでNOxの生成を抑制
- 空気比を小さくすると酸素濃度が下がり、火炎温度も低くなる
- 空気比を下げすぎると、すすが発生しやすくなる
- サーマルNOxとフューエルNOx両方を抑制できる
②燃焼室熱負荷の低減
燃焼装置では燃焼室熱負荷を増大させると炉内温度および火炎温度が上昇し、サーマル NOx が増加する
③空気予熱温度の低下
燃焼用空気の予熱温度を下げると、燃焼温度も下がるため NOx を低減できる
しかし、エネルギー効率からは望ましくない
④二段燃焼
燃焼用空気を2段に分けて供給し、1段では空気比を0.8~0.9に制限し、2段目で完全燃焼を行う
急激な燃焼反応を抑制して火炎温度の上昇と局部高温域の出現を防止するとともに、酸素濃度の低下によりNOx生成を抑制
- サーマルNOxおよびフューエルNOx両方抑制できる
- 低空気比燃焼より効果が大きい
⑤排ガス再循環燃焼
燃焼によって生じた排ガスの一部を燃焼室に戻す燃焼方法
酸素濃度が低下するので、燃焼速度が低下し火炎の最高温度が低下する(サーマルNOx抑制)
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