【公害防止(大気)ばいじん・粉じん特論】ダスト測定

ばいじん・粉じん特論

公害防止(大気)ばいじん・粉じん特論の「ダスト測定」に関する覚えるポイントをまとめました

流速の測定

ピトー管またはピトー管係数のわかっている特殊ピトー管を用いる

$$v=c\sqrt\frac{2P_{d}}{ρ}$$

$v$:排ガス流速[m/s]、$c$:ピトー管係数、$P_{d}$:ピトー管による動圧測定値[Pa]、$ρ$:排ガス密度[kg/m3]

排ガス密度の計算式

$$ρ=ρ_{N}\frac{273.15}{273.15+θ_{s}}\frac{101.3+P_{s}}{101.3}$$

$ρ_{N}$:標準状態でのガス密度[kg/m3]、$θ_{s}$:燃焼排ガス温度[℃]、$P_{s}$:動圧[kPa]
※温度は273.15を足すことで[℃]を[K]、圧力は101.3を足すことでゲージ圧[KPaG]を絶対圧[kPaA]に単位換算

標準状態での乾き排ガス量

$$V^{′}_{N}=V_{m}\frac{273.15}{273.15+θ_{m}}\frac{P_{d}+P_{m}-P{v}}{101.3}$$

$V^{′}_{N}$:標準状態における吸引した乾き排ガス量[m3]、$V_{m}$:吸引したガス量[m3]、
$θ_{m}$:ガスメーターにおける吸引ガス温度[℃]、
$P_{a}$:大気圧、$P_{m}$:ガスメーターにおけるガスのゲージ圧、$P_{V}$:水分の蒸気圧

ダスト捕集器のろ紙種類

ろ紙の種類耐熱温度特徴
メンブレンろ紙110℃以下孔径が一定で小さく、捕集率が高い
ふっ素樹脂ろ紙250℃以下ガスの吸着性は極めて小さいが、ろ過抵抗は大きい
ガラス繊維ろ紙500℃以下SOxとの反応性が大きく、SOx存在下での誤差が大きい
シリカ繊維ろ紙1000℃以下ガスの吸着性は小さいが、強度的に弱い

ろ紙

  • 円形ろ紙は有効直径30mm以上のものを使用
  • ろ紙はあらかじめ105~110℃で十分乾燥する、排ガス温度が100℃以上の場合は同程度まで加熱
  • 吸引ガス量は円形ろ紙の捕集面積1cm2あたりダストの捕集量が0.5mg程度になるようにする、円筒ろ紙の場合は全捕集量が5mg以上になるようにする
  • ろ紙を通るガス流速が0.5m/s以下になるように、吸引ノズル孔径およびろ紙の寸法を選ぶ
  • ダストを捕集したろ紙は105~110℃で1時間乾燥した後、デシケーター中で室温まで冷却し、秤量
  • 秤量用の天秤は感度0.1mg以下のものを用いる

吸引ノズルによるダストの採取

  • 吸引速度がダクト内の排ガス流速よりも大きいと、測定濃度は真のダスト濃度よりも小さくなる
  • 吸引速度がダクト内の排ガス流速よりも小さいと、測定濃度は真のダスト濃度よりも大きくなる
  • 測定点における排ガスの流れ方向と吸引ノズルの方向に偏りがあると、吸引速度を排ガス速度に一致させても、測定濃度は真のダスト濃度よりも小さくなる
  • ダスト密度が大きいほど、等速吸引が出来ない場合の濃度は、真のダスト濃度からの差が大きい
  • ガス粘度が大きいほど、等速吸引が出来ない場合の濃度は、真のダスト濃度からの差が小さい(ダストと排ガスが一緒に動くため)
  • 測定点での排ガスの流れ方向と吸引ノズルの方向との偏りは10°以下
  • 吸引ノズルから吸引するガスの流速は、測定点における排ガス流速に対して-5~+10%の範囲内とする
  • 等速吸引を行う方法として、平衡形試料採取装置、普通形試料採取装置を用いる方法がある
  • 平衡形試料採取装置ではあらかじめ水分量や等速吸引流量を知る必要がない
  • 普通形主導試料採取装置
    ダスト捕集器→SO2吸引瓶→ミスト除去瓶→真空ポンプ→面積流量計→湿式ガスメーター
  • 非等速吸引によるダスト濃度の誤差を推算する式(デービスの式):JISでは認められていない

$$\frac{C_{n}}{C}=\frac{v}{v_{n}}\frac{1}{1+2S_{tk}}(\frac{v}{v_{n}-1})$$

$C_{n}$:ダスト濃度(非等速吸引)[g/m3]、$C$:ダスト濃度(等速吸引)[g/m3]、
$v$:測定点のガス流速[cm/s]、$v_{n}$:吸引ノズルのガス流速[cm/s]、
$S_{tk}$:ストークス数[-]

水分量測定

  • 測定には共通すり合わせU字管シェフィールド形吸湿管が用いられる
  • 等速吸引の必要はない
  • 排ガスの吸引流量は1本の吸湿管内で吸湿剤1g当たり0.1L/minになるようにする
  • 吸湿された水分が100mg~1gになるように吸引ガス量を選ぶ
  • 天秤は感量10mg以下のものを用いる
  • 平衡形試料採取装置を用いる場合は、あらかじめ水分量を知る必要はない
  • ダクト断面の中心部に近い1点だけから採取してよい
  • 測定方法には吸湿管による方法と計算で求める方法がある
  • 吸湿管では二酸化炭素を含むガスに対しては酸化バリウム酸化カルシウム酸化アルミニウムシリカゲルなどは使用できない、無水塩化カルシウムは使用できる

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