公害防止(大気)大気概論の「大気汚染物質の発生機構」に関する覚えるポイントをまとめました
光化学オキシダント
光化学オキシダントの主成分はオゾンO3
光化学オキシダントの生成機構
窒素酸化物と炭化水素を含む揮発性有機化合物が関与する大気中での化学反応により生成する
二酸化窒素に光を照射すると酸素原子が生成
NO2→NO+O(光照射)
オゾンは酸素分子と酸素原子の反応で生成
O2+O→O3
酸性雨
酸性雨の主要な原因物質は硫酸と硝酸
酸性雨の生成機構
SO2 やNOxが気相でOHと反応、雲や霧の中での反応、粒子状物質上で反応し、硫酸や硝酸が生成
SO2+OH→HSO3+H2→H2SO3
NO2+OH→HNO3
反応の特徴
- NO2の酸化速度はSO2の酸化速度よりも圧倒的に大きい
- 湿性沈着:生成した硫酸や硝酸が雲や雨に吸収されて地上に降下する
- 乾性沈着:生成した硫酸や硝酸が大気中のアンモニアと反応して生成するエーロゾルや他の粒子状物質に付着した形で地上に降下する
オゾン層破壊
オゾンホールとは
成層圏では強い紫外線によりO2が分解して生成するOとO2の反応でオゾンO3が生成
オゾンは紫外線を吸収して分解し、オゾンホールが発生
オゾン層破壊とは
対流圏で分解されないオゾン層破壊物質が、成層圏の強い紫外線により分解されて塩素原子を放出しオゾンを分解する
オゾン層破壊物質
ClやBrを含む物質
- 四塩化炭素
- 臭化メチル
- 1,1,1-トリクロロエタン
- クロロフルオロカーボン(CFC)
- ハロン
温室効果ガス
温室効果ガスの例
- 二酸化炭素CO2
- メタンCH4
- 一酸化二窒素N2O
- ハイドロフルオロカーボンHFC
- パーフルオロカーボンPFC
- 六ふっ化硫黄SF6
温室効果ガスの特徴
CO2 | CH4 | N2O | CFC-11 | CFC-12 | HCF-23 | HCF-134a | HCFC-22 | SF6 | |
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温暖化係数(100年) | 1 | 28 | 265 | 4,660 | 10,000 | 12,400 | 1,300 | 1,800 | 24,300 |
大気中寿命[年] | なし | 9.1 | 131 | 45 | 100 | 238 | 13.4 | 12 | 1,000 |
大気中濃度(1750年以前) | 278ppm | 722ppb | 270ppb | – | – | – | – | – | – |
2011年濃度 | 391ppm | 1803ppb | 1966ppb | 240ppt | 530ppt | – | 60ppt | 200ppt | 5ppt |
2019年濃度 | 410ppm | 1866ppb | 332ppb | 230ppt | 500ppt | – | 110ppt | 250ppt | 10ppt |
温暖化係数・大気寿命・大気濃度の大小関係は覚えましょう
- 温暖化係数:SF6>HCF-23>CFC-12>CFC-11>HCFC-22>HCFC-134a>N2O>CH4>CO2
- 大気寿命:SF6>HFC-23>N2O>CFC-12>CFC-11>HCF-134a>HCFC-22>CH4>CO2
- 大気中濃度(2020年):CO2>CH4>N2O>CFC-12>HCFC-22>CFC-11>HCF-134a>SF6
- 大気中のCO2濃度は産業革命以前の300ppmから2020年には400ppmまで上昇している
- 2019年の大気中のCO2濃度は410ppmで工業化前より約47%増加
- 2000~2009年での大気中炭素の平均増加量は、200億t-炭素/年(毎年2.5ppm増加)
温暖化係数・大気寿命・大気中濃度は最新の情報および大小関係を要確認
温室効果ガスによる影響
- 世界平均気温(2011~2020年)は工業化前と比べて約1.09℃上昇
- 陸域では海面付近よりも1.4~1.7倍の速度で気温が上昇
- 陸域のほとんどで1950年代以降に大雨の頻度と強度が増加
- 強い台風の発生割合は過去40年で増加
- 北極の海氷(2010~2019年)は1979~1988年と比べて、海氷が一番少ない9月で40%減少、一番多い3月で10%減少
- 世界の平均海面水位は1901~2018年の間に約0.20m上昇
将来予測
- 今世紀末(2081~2100年)の世界平均値上気温の変化予測は、工業化前と比べて+1.0~5.7℃の上昇
- 今世紀末の年平均値降水量は1995~2014年と比べて、最大で約13%増加
- 世界規模では地球温暖化が1℃進行するごとに、極端な日降水量の強度が約7%上昇
- 2100年までの世界平均海面水位は1995~2014年と比べて0.28~1.01m上昇
- 累積炭素排出量と世界平均地上気温の変化との間にはほぼ線形の関係がある。二酸化炭素除去CDRによってもたらされる降温または回避される昇温は、CDRによる累積CO2除去量に比例する
温室効果ガスとオゾン層破壊物質について
- CFC(クロロフルオロカーボン)
- 強力なオゾン層破壊物質
- 大気中濃度1990年ピーク、生産量1988年ピーク
- 1996年廃止
- HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)
- CFCと比べて大気寿命やオゾン層破壊係数が小さい
- 2020年頃大気中濃度ピーク
- 1996年消費量規制
- 2020~2030年までに全廃
- HFC(ハイドロフルオロカーボン)
- 塩素を持たずオゾン層を破壊しない、高い温室効果ガス
- 大気中濃度はしばらく上昇
- ノンフロン
- オゾン層破壊しない、温室効果もあまり高くない
- 1,1,1-トリクロロエタン
- 1987年制限、大気寿命短い
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