公害防止(大気)大気有害物質特論の「カドミウム・鉛・ふっ素・ふっ化水素・塩素・無機塩素化合物」に関する覚えるポイントをまとめました

色と特徴(刺激性など)は必ず覚えましょう
カドミウムCd
カドミウムの特徴
- 白色で光沢のある金属
- 沸点が767℃
カドミウムを含む化合物
- 塩化カドミウムと酸化カドミウムは毒性強い
- 硫化カドミウムを主成分とするカドミウムイエローは色調が鮮明で着色性、耐熱性に優れた顔料である
カドミウムの発生源
- カドミウムは亜鉛に随伴して算出されるため亜鉛鉱中に多く含まれる
- 亜鉛、銅、鉛の製錬に供する焙焼炉、焼結炉、溶鉱炉、転炉、溶解炉および乾燥炉が発生源となる
- 代表的な亜鉛鉱である閃亜鉛鉱には少量(0.3%)の硫化カドミウムが含まれる
- 亜鉛精鉱を焙焼炉で850~900℃程度で加熱分解して、焼結鉱と二酸化硫黄とし、焼結鉱を製錬して亜鉛を得る
- カドミウムは閃亜鉛鉱に含まれる金属類の中では沸点が低く、低温で揮発しやすいため、閃亜鉛鉱の焙焼鉱(焼結鉱)にはほぼ残存しない(0.04~0.07%)
- 閃亜鉛鉱に含まれる金属の沸点:カドミウムCd<亜鉛Zn<マンガンMn<銅Cu
- ダストとして揮散したカドミウムは煙灰中で濃縮され、ダスト中(焼結鉱)には1~21%のカドミウムが含まれる。カドミウムが濃縮されており、カドミウムスポンジの原料となる
鉛Pb
鉛の特徴
- 鉛は400~500℃で蒸発が盛んになり、鉛フュームとなる
- 沸点1750℃
- 融点327℃
鉛の発生源
- 鉛鉱石として代表的なものは方鉛鉱
- 方鉛鉱の製錬では焼結炉で硫黄は二酸化硫黄として除き、鉛の酸化物とする
- 焼結炉で得られた鉛の酸化物は溶鉱炉でコークスによって還元されて粗鉛となる
- 焼結炉、溶鉱炉からの排ガスに含まれるダストの60~70%は酸化鉛であり、回収して焼結工程に戻される
- 粗鉛(鉛95~97%)に含まれる金、銀などの有価金属を回収する工程では鉛が揮散する
ふっ素F
ふっ素の特徴
- 常温で淡黄色の刺激性の強い有毒な気体
- 沸点‐188℃
- 融点‐218.6℃
- 水と激しく反応し、ふっ化水素・オゾン・過酸化水素・二ふっ化酸素などを生じる
- ハロゲンの中では化学的に活性が大きく、希ガスや窒素以外のほとんどの元素と反応し、ふっ化化合物を生成
ふっ素の処理方法
- ふっ素を含む排ガスの処理には、水酸化ナトリウム溶液または水酸化カリウム溶液を吸収剤として用いる
- 硫黄と反応させて、熱的にも化学的にも安定な六ふっ化硫黄として回収する
ふっ化水素H2F
ふっ化水素の特徴
- 常温で無色の発煙性の気体
- 沸点19.4℃
- ふっ化水素水溶液は弱酸性で、強い腐食性を有するため、多くの金属やけい素化合物を溶解・腐食する
- 金属と反応すると水素が発生し、爆発することがある
- 蛍石CaF2を硫酸で分解するとふっ化水素が発生する
ふっ化水素の保存方法
- ふっ化水素水溶液の保存はステンレス鋼など耐食性の材料が使用される
- 耐圧容器に詰めると加圧されて沸点が上昇し、液体として取り扱える
ふっ化水素の処理方法
- ふっ化水素の水による吸収では、水に溶けやすいためガス側境膜抵抗が吸収速度を支配する
- ふっ化水素を含む洗浄水の処理方法は、水酸化カリウムで中和する
- 四ふっ化けい素を含む排ガスの処理では、二酸化けい素が析出するおそれがあるので、ふっ素化合物による腐食および二酸化けい素による閉塞を考慮する必要がある。閉塞する恐れがあるため充填塔は避け、スプレー塔が好ましい。
塩素
塩素の特徴
- 塩素は常温で黄緑色の刺激臭のある有毒な気体
- 液化しやすく20℃、669kPaで容易に液化する
- 沸点‐85℃
塩素の発生源と処理方法
- 塩素は加熱または光照射により、水素と速やかに反応して塩化水素が生成する
- 塩素の発生源として、ソーダ工業、染料、無機及び有機化学工業がある
- 塩素は水銀法、隔膜法、イオン交換膜法(食塩の電気分解)による食塩の電気分解により製造される
- 注水不可、水酸化カルシウムで吸収
イオン交換膜法とsniffガス
- イオン交換膜法で製造された塩素の液化装置からは塩素を20~50%含有する排ガス(sniffガス)が生じる
- sniffガス中の塩素は水を吸収剤として回収する方法や、シリカゲルに吸着させ、その後加熱脱着して濃厚な塩素を回収する方法がある
- Sniff ガスの塩素-水系では塩化水素と次亜塩素酸が生成するため、吸収装置の材料には耐酸性および耐酸化性が要求される
- 排ガス量が多く塩素濃度が低い場合は、石灰乳または水酸化ナトリウム溶液を吸収剤として用い、亜塩素酸塩として回収する方法がある
- 硫酸鉄(Ⅱ)水溶液を用いて、塩素を吸収させる
塩化水素HCl
- 無色の刺激臭のある気体
- 沸点‐85℃、融点‐114.2℃
- 湿った空気中で激しく発煙する、極めて水に溶けやすい
- 活性炭を製造、炭化水素類を塩素化、代替フロンを製造する際に発生する場合がある
- 水洗し、炭酸ナトリウム・炭酸カルシウムで中和
無機塩素化合物
無機塩素化合物の発生源
- さらし粉、さらし液、次亜塩素酸ナトリウムは、水酸化カルシウムまたは水酸化ナトリウムと塩素の反応により製造される
- 無機塩素化合物のうち塩化水素との反応によって製造されるもの
無機塩素化合物の例
- 無水塩化アルミニウムAlCl3
- 塩化鉄(Ⅲ)FeCl3
- 塩化鉄(Ⅲ)FeCl3
- 塩化すずSnCl2
- 三塩化アンチモンSbCl3
- 五塩化アンチモンSbCl5
- 四塩化チタンTiCl4
- 塩化硫黄S2Cl2
- 二塩化硫黄SCl2
- 三塩化りんPCl3
- 五塩化りんPCl5
- 塩化亜鉛ZnCl2
- 塩化アルミニウム液AlCl3aq
- 塩化鉄(Ⅱ)FeCl2
- 塩化銅(Ⅰ)CuCl
- 塩化ニッケルNiCl2
- 塩化バリウムBaCl2・2H2O
- 塩化マグネシウムMgCl2・6H2O
- 塩化マンガンMnCl2・4H2O
- クロロ硫酸HSO3Cl
- 塩化ニトロシルNOCl
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