【公害防止(大気)大規模大気特論】大気汚染モデル

大規模大気特論

公害防止(大気)大規模大気特論の「大気汚染モデル」に関する覚えるポイントをまとめました

煙突排ガスの上昇式(ダウンウォッシュがない場合)

上昇式の特徴

  • 有効煙突高さ=実煙突高さ+煙の上昇高さ
  • 煙突真上の有効煙突高さから水平方向に風で運ばれながら拡散する
  • 風速は常に上昇高さを小さくする効果を持つ
  • 無風に近いときは有風と異なる体系の上昇式が必要
  • 上昇式は浮力の効果を必ず含む、モーゼスとカーソンの式のみ運動量と浮力の効果を含む
  • 大容量火力発電所から排出された煙は、風下距離1~2kmまで上昇し続けることが観測されている

モーゼスとカーソンの式

大気安定度を考慮して排ガスの上昇高さを推定

$$ΔH=\frac{C_{1}v_{g}D+C_{2}Q^{\frac{1}{2}}_{H}}{u}$$

$ΔH$:煙突排ガスの上昇高さ[m]、$C1・C2$:大気安定度により変化する定数
$v_{g}$:排ガスの吐出速度[m/s]、$D$:煙突出口径[m]
$Q_{H}$:排出熱量[W]、$u$:風速[m/s]

$C_{1}v_{g}D$:運動量上昇
$C_{2}Q^{\frac{1}{2}}_{H}$:浮力上昇

ブリックスの式

無風時を対象、大気の温度勾配と排出熱量に応じて上昇高さが変化

コンカウの式

大気安定度の影響を非考慮、無風状態では使えない

ボサンケの式

式の煩雑さに比較して精度が良くない

大気環境評価のための拡散モデル

平均化時間

平均化時間は対象ガスによって異なる

  • 数秒:有害化学物質、引火性ガス、爆発性ガスの事故時放出時
  • 数分:悪臭、化学物質の漏洩
  • 1時間:SOx、NOx、CO、光化学オキシダントなどの大気汚染物質
  • 1か月から1年:CO$_{2}$やオゾンから温室効果やオゾン層破壊の関係を調べる

プルーム拡散式

正規分布のプルーム式

$$C=C_{0}exp\left(\frac{-y^{2}}{2σ^{2}_{y}}\right)$$

$y$:距離、$C$:濃度、$σ_y$:拡散幅(標準偏差)、$A=0.61C_{0}$

  • 平坦地域の高煙突からの煙の拡散モデル
  • 無風時には計算できない

正規形プルーム拡散

$$C = \frac{Q}{2\pi u \sigma_y \sigma_z} \exp\left( -\frac{y^2}{2\sigma_y^2} \right) \left[ \exp\left( -\frac{(H_e – z)^2}{2\sigma_z^2} \right) + \exp\left( -\frac{(H_e + z)^2}{2\sigma_z^2} \right) \right] \times 10^6$$

$C$:煙流中心軸直下の地上濃度[ppm]、$\sigma_{y}$:水平拡散幅[m]、$\sigma_{z}$:鉛直拡散幅[m]
$z$:地面から鉛直上方の距離[m]、$Q$:汚染物質排出量[m$^{3}$/s]
$H_e$:有効煙突高さ[m]、$u$:風速[m/s]
$x$:煙突から風下方向の距離[m]、$y$:$x$と直角水平方向の距離[m]

  • 拡散幅$\sigma_y\sigma_z$は$x$に依存する
  • exp${ -\left(\frac{(H_e+z)^2}{2\sigma_z^2}\right)}$の項は、地表面における完全反射を表す
  • 平坦地域高煙突からの煙の拡散を想定した式(周囲に障害物があって平坦ではない場所には適用しづらい)
  • 無風は計算できない(分母の$u=0$となる)ため、パフ式を用いる
  • 反応により生成消滅が起こる場合には適用できない
  • 風速・拡散係数は時間的、空間的にも変化しない
  • 発生源の放出強度は時間的に変化しない
  • 濃度計算の対象となる物質は空気と同じように働き、途中で沈降沈着しない
  • 高密度ガスが大量に放出されたときの濃度予測には用いられない

大気環境濃度の予測方法

予測手法の分類

  • 拡散は微分方程式で表され、その解法により解析解モデル数値解モデルに分けられる
  • 数値解モデルは数値的に微分方程式を満たす解を求める
  • 解析解モデルは拡散係数や風向・風速が一定などの条件のもとで数学的に得られる解を利用
モデル特徴
数値解モデル光化学大気汚染地球規模の汚染気候変動のシミュレーション
複雑な構造を持つ市街地などの汚染予測
格子モデル計算量が非常に大きい
格子間隔より小さいスケールの濃度変化を表現できない
流路線モデル特定地点では計算が少な
複雑な化学反応モデルを採用できる
地点と上層での風向風速が異なると計算が困難
水平方向の拡散は考慮できない
解析解モデルPRIMEモデル、Lyons and coleモデル、HIWAYモデル
正規形プルーム・パフモデル化学物資漏洩時の危険評価に利用
ex)工場地区の主要煙突から排出されるSO$_2$の周辺地域における年平均濃度分布予測
正規形線源式や正規形プルーム式郊外の平坦地域を通過する主要バイパス道路による粉じんの環境予測
風洞規型実験ビルの多い市街地複雑地形中に排出させるの濃度予測

環境濃度予測

種類モデル特徴
光化学大気汚染モデル格子固定した格子点での時間変化を予測
流路線空気塊を追跡しながらその時間変化を予測
平坦な地域での年平均値の予測正規形プルーム式
複雑地形の拡散モデルVALLEY複雑地形上の最高濃度を予測
CTMD
CTDMPLUS
点発生源を対象とし孤立丘の周囲の気流と拡散を予測(プルームモデル)
AERMOD複雑地形上の大気・建屋・対流混合槽内の拡散も対応可能
地表煙源高煙源の両方に対応している
METI-LIS地物の影響を受ける低煙源を対象とした大気拡散モデル
海上および沿岸拡散モデルLyons and Coleモデル沿岸地域で発生するヒュミゲーション時の拡散予測のための三次元解析解モデル
OCDモデル海上および沿岸地域に適用できる正規形プルームモデル
建屋後流拡散モデルISC工場建屋高さに使い排気ダクトなどから排出される
有害大気汚染物質敷地境界や近傍における濃度計算
PRIMEISC の後続モデル
正規型プルーム拡散式
NRC低レベル放射線物質の大気拡散予測方法
自動車排ガス拡散モデルHIWAY幹線道路のように障害物のない直線道路を対象とするモデル
CALINEカルフォルニアの直線単路部モデル
STREET(SRI)周りに建物が立ち並ぶ道路(ストリートキャニオン)を対象
高密度ガス拡散モデル三次元数値解モデル運動量、質量、エネルギーなどの保存則を利用
スラブモデル保存則を水平方向および鉛直方向の断面に積分した方程式
正規形プルーム
パフモデル

野外や模型による実験

風洞実験

風洞実験とは

送風装置や整流装置などを備えた細い測定室内で工場建屋、煙突、周辺の地形などの模型を置く

煙を所定の位置から放出して、その状態を定量・定性的に把握する実験

特徴

  • 風洞内の気流(風速、風速分布、乱流強度)を予測したい場所の状況に一致させる必要あり
  • 模型の縮尺に合わせて気流の状態を調整して、その状況を表現できるパラメーター(境界層の厚さ、風速分布、乱流強度)が現地と風洞内が相似しているか確認する
  • 地形や建物の影響は大気との相似則を満たしやすく、濃度予測が容易
  • 中立な大気中での拡散の再現は容易、安定あるいは不安定な気相を再現することは困難
  • 大型の実験設備が必要で、新設設備では大気境界層の特性など風洞の基本的性能を事前に確認する
  • 一般的な風洞実験で得られる濃度は数分程度の平均化時間に対応

現地トレーサー実験

現地トレーサー実験とは

対象とする発生源や模擬発生源からトレーサーを放出し、発生源周囲の多数地点で濃度を計測する実験

特徴

  • ガス状トレーサー物質としてパーフルオロメチルシクロヘキサンPMCHを使用
  • 新たな大気汚染予測モデルの構築や評価に必要となるデータ取得に利用
  • 実際に排出されている大気汚染物質や、事故時に漏出する物質などの挙動を把握するために用いる
  • 実験時の気象条件と排出条件が予測に必要な要件を満たしているかの確認が困難なため、実際の予測にそのまま採用されることは少ない。予測に用いられる拡散モデルの検証に使われる

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